看護

尿量低下で輸液負荷か利尿薬か?PLR(下肢挙上テスト)は使える?

看護師なら「尿量低下で指示に引っかかったけど、輸液負荷でいいのか?」と悩む場面があると思います。その逆もしかりで「尿量低下しているけど利尿薬でいいのか?」という場合もあります。

単純に循環血液量が減少している状態なら輸液負荷であり、逆に循環血液量は保たれているが体内に余分な水分が貯留している場合は利尿薬での対応が一般的です。

ではどのようにして循環血液量を判断するのでしょうか?医師ならばエコーを使ってIVC径(下大静脈の太さ)を測定することで評価が行えますが、看護師がエコーすることは一般的ではありません。

そんな時に使えるかも知れないのが『受動的下肢挙上テスト』で、PLRと略されている方法です。

 

最近では血圧低下時に下肢挙上は行われなくなってきており、下肢挙上はPLRという言葉に代わり、輸液反応性の評価を行う方法と考えられてきています。

この記事では看護師でも行える輸液反応性の評価、PLRについて紹介したいと思います。尿量低下のアセスメントに使えると思うので覚えておいて損はないと思います。

 

下肢挙上について考察した記事もおすすめです!記事はこちら。

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PLRとは

passive leg risingの略で受動的下肢挙上を意味します。

血圧低下時に行われる下肢挙上とは違い、PLRは「輸液反応性を見るための下肢挙上」という意味で使用されます。

下肢挙上は血圧低下時における緊急的な方法の一つと考えられていました。下肢を挙上することにより静脈還流を増やし、急速に輸液を行った状態にし血圧上昇を期待します。しかし下肢挙上による血圧上昇の効果は数分であり、根本的な解決にはならないという事が最近の考え方です。

その為『下肢挙上によって血圧が上昇する場合は、輸液によって血圧上昇が期待できる状態である』と判断する考え方が、PLR(受動的下肢挙上)による輸液反応性の評価です。

PLRは受動的下肢挙上テストを意味する。

PLRは下肢挙上をすることによって輸液反応性があるかどうかをテストする方法。



PLRの方法

下肢挙上に方法なんてあるの?って思いそうですが、PLRによる輸液反応性をテストするために効果的な方法が存在します。

PLRの方法

1.45度のセミファーラー位で開始する

2.ヘッドダウン+下肢挙上でPLR実施

3.心拍出量の評価を行う

 

セミファーラー位から下肢挙上を行うことにより300~500mlの輸液ボーラス投与に相当すると言われています。

 

ただこのようにセミファーラー位にせず、そのまま下肢挙上を行っても正確性は変わらないとも言われています。

 

正確には血圧の上昇を見るのではなく、心拍出量の増加で輸液反応性ありと評価します。

 

実際には血圧も上がることが多いのですが、正確には心拍出量で評価です。

 

なのでPICCOやフロートラックセンサーなどを留置している患者さんでないと、正確には評価しにくいです。

 

ただ正確ではないものの、「PLRで血圧上昇すれば輸液反応性ありと評価できる」という意見もあるので、一つの指標にはなるとは思います。

 

尿量指示に引っかかったけど、利尿薬でいいのか?ボリューム不足ではないのか?と判断に迷う場面ではトライしてみるのもいいと思います。

 

輸液反応性の判断基準

PLRにより心拍出量が10%増加もしくは脈圧が12%増加した場合に輸液反応性ありと判断できます。

 

心拍出量はスワンガンツカテーテルなどのデバイスが必要になりますが、脈圧は「脈圧=収縮期血圧-拡張期血圧」なので簡単に評価できるメリットがあります。

 

しかし脈圧での評価は心拍出量での評価より正確性に欠けるという研究があるので注意が必要です。

 

また脈圧と他のパラメータを組み合わせるとより精度が増します。

①CVPが2mmHg以上増加

②マンシェットによる血圧上昇が9%以上

 

脈圧の上昇に①と②を加えた場合、つまり脈圧の12%以上の上昇+CVP2mmHg以上増加+収縮期血圧9%以上の増加のすべての条件を満たせば、かなりの確率で輸液反応性があると言えます。

PLR以外の輸液反応性の評価方法

 

PLRによる評価以外では,輸液チャレンジやCVP・SVV・PPVのモニタリング、エコーによるIVC径の測定です。

 

輸液チャレンジ

輸液チャレンジはその名の通り、輸液をしてみて心拍出量が上昇するかをテストします。

 

しかし効果がなかった時はただ水分を貯留させただけになります。

 

CVP

看護師がボリュームの評価をするならば、CVPが一番身近ではないのでしょうか。

 

しかしCVPは50%近い確率で輸液反応性がなくても低値となることがあり、CVP単体で輸液反応性を評価することはコイントスで決めるのと同じと言われています。

 

SVV・PPV

SVV
Stroke Volume Variation 一回拍出量変動率
10~15%で脱水の指標

 

PPV
Pulse Pressure Variation 脈圧変動率
13%以上で脱水の指標

 

SVVやPPVの動的指標は自発呼吸があれば感度が低くなると言われており、自発呼吸がある場合半数は正確に測定できていないと言われています。

 

最近は浅い鎮静で管理することが主流となっているため、自発呼吸がある患者さんではPLRの方が有利かもしれないですね。

 

 

 


 

今までは看護師が輸液反応性を評価するのはCVPが一般的でした。

 

そこに新しい方法であるPLRの登場で、看護師にとってボリューム評価が少し身近になった気がします。

 

まだPLRについては研究されているので、新たな発見に期待したいですね。