看護

【SVO2・CI】ICU看護師が解説!スワンガンツカテーテルの看護

こんにちは、ICUで看護師をしているミダ猫です。今回はICUや循環器病棟で見る機会が多いと思われるスワンガンツカテーテルについての記事です。

スワンガンツカテーテルは重症な患者に留置されているのは知っているけど、数値がたくさんあるので取っつきにくいという看護師さんも多いのではないのでしょうか?

この記事ではスワンガンツカテーテルから得られる波形や数値スワンガンツカテーテルと併せて覚えたいフォレスター分類などを解説しています。是非参考にしてみてください。

 

スワンガンツカテーテルとは

エドワーズライフサイエンスのホームページより引用

スワンガンツカテーテル肺動脈カテーテルのことであり、主に心機能を評価するために使用されます。

正式にはスワンガンツサーモダイレーションカテーテルという名前で、エドワードサイエンス社の商品名です。

 

スワンガンツカテーテルはCVのようなカテーテルであり、カテーテルで得られる情報を数値化して表示する為に「ヘモスフィア」や「ビジランスモニター」といった生体モニターと接続して使用します

エドワーズライフサイエンスのホームページより引用

ビジランスヘモダイナミックモニター

通称「ビジランスモニター」で、スワンガンツカテーテルと接続することで心拍出量などを測定することができます。



目的

スワンガンツカテーテルを使用する目的は、シンプルに血行動態の評価を行うために使用されると覚えましょう。

心機能を連続して測定できるため心不全心臓血管外科の術後重度の心筋梗塞肺停止蘇生後などに適応となります。

病院によって適応疾患が異なると思いますが、筆者の施設では心外術後やPCPS挿入患者に挿入され、たまに重度の心機能低下でICU入室が必要な患者さんにも使用されます。

まずは「スワンガンツ=心臓の状態を調べたいから使う」と覚えてもらってよいと思います。

・スワンガンツカテーテルは持続的に右心系と左心系の評価ができる。

・得られた数値から心臓機能の評価を行ない、治療方針の決定を行なう。

 

留置位置とシースについて

内頸静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈などから留置されます。

CVカテーテルのように挿入されるのですが、CVと違いシースイントロデューサー(通称シース)というものを先に挿入しそこからスワンガンツカテーテルを挿入します。

これはスワンガンツはガイドワイヤーを通せないのでCVカテのように単体で挿入できなのでシースから挿入しているのです。

シースとカテーテルは固定されているものなのですが、固定位置がずれていないかを確認することは看護師の大切な仕事です。



スワンガンツカテーテルの波形と数値

出典:スワンガンツ・サーモダイリューション・カテーテル(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

 

スワンガンツカテーテルは先端が肺動脈へ留置され、波形は肺動脈のもの(PA)がモニターに表示されます。

もしモニターに右心室圧(RV)の波形が表示されている場合はカテーテルの先端が右心室にあり、心室性の不整脈を起こす可能性があるのですぐに医師へ報告しましょう。

右心房圧 RAP

基準値:2~8

RAPはほぼCVPと同じです。

右心系の前負荷を示しており、循環血流量が減少すれば低値となり、右心不全などで血液がうっ血すれば高値を示します。

・RAPが低値になれば循環血液量減少

・RAPが高値になれば循環血液量増加(右心不全・心タンポナーデなど)

右心室圧 RVP

基準値:15~20/0~8

右心室の圧を示しており、肺へと血液を送るので収縮期と拡張期があります。

左心系と同じで、血液を送る先(肺の血管)が狭窄したり血管抵抗が高いと、それに比例して右心室圧も高値となります。

・収縮期圧の上昇は肺血管系の圧の上昇(肺高血圧症や肺動脈狭窄症)

・拡張期圧の低下は心収縮の低下(右心不全や心タンポナーデ)

肺動脈圧 PAP

基準値:15~25/8~15  平均圧10~20

後述するPCWPの数値を知るのにPAPの数値が代用できます。

というのもカテーテル先端は肺動脈にあり、PCWPを測定するにはカテーテルを進めてバルーンを拡張させなければなりません。

医師ならともかく看護師がベッドサイドで行うことはできないので、PAPからPCWPの数値を知る方法が安全で簡単です。

あくまで目安ですが肺動脈拡張期圧≒肺動脈楔入圧となります。

肺動脈楔入圧とほぼ同じということは、左室の拡張期圧とほぼ同じとも言えるので、PAPから左室の機能を知ることになります

・収縮期圧上昇で肺梗塞や肺高血圧

・拡張期圧上昇で左心不全や僧帽弁狭窄

・PAP全体が低い場合はボリューム(循環血液量)不足の可能性が高い

患者さんの血圧が低い場合、循環血液量が少ない場合と心臓のポンプ機能の低下などが考えられます。

循環血液量が足りていない場合は輸液でよいのですが、ポンプ機能が低下している場合に輸液負荷をしてしまうと、心臓の負担を増やすことになってしまいます。

そういった「輸液負荷をするべきか迷う場面」においてはPAPやRAPといった数値がアセスメントに役立ちます。

肺動脈楔入圧 PCWP

基準値:6~12

スワンガンツカテーテルを挿入すると、先端はは右房→右室→肺動脈と進んでいきます。

肺動脈から先は肺胞となるので細い血管へと枝分かれしていきます。

その血管の中までカテーテルを挿入し、先端のバルーンを膨らませた状態を肺動脈楔入圧といいます。

バルーンを膨らませ血流を遮断するとその先にある左心房と大体同じ圧となります。

そして僧帽弁狭窄症などがない場合、左室拡張末期圧とほぼ等しくなります。

つまりスワンガンツカテーテルは、静脈からカテーテルを挿入することで左心の状態を知ることができます。

肺動脈楔入圧の楔入は英語でwedge(ウェッジ)なので、ウェッジ圧と呼ぶ人もいます。

PCWPは看護師が測定してもいい?

PCWPの測定方法は、肺動脈圧を見ながらゆっくりとバルーンを拡張し、波形がPCWPに変化した時点で拡張をストップして測定します。

バルーンを拡張しすぎると血管損傷のリスクもある為、筆者の施設では看護師がPCWPの測定は実施できません。

上述の通り、PCWPは肺動脈拡張期圧でも代用できるので、看護師がわざわざPCWPの測定を行なう必要はないと筆者は考えています。



ビジランスモニターから得られる数値

混合静脈血酸素飽和度 Svo2

基準値は60~80%です。

肺動脈から先は肺胞になりガス交換を行っています。

静脈血と動脈血が交わる場所なので混合静脈血とイメージしそうですが、酸素の運搬を終えて戻ってきた血液の酸素飽和度なんです。

90-100%の酸素が組織で20-30%ほど酸素が消費されるので大体基準値になります。

看護師が患者さんの酸素化状態をみたいならSPO2モニターで十分なので、SVO2を活用する場面は正直少ないです。

 

SVO2が低いって言われてもピンと来ないですが、SPO2が低いと言われるとわかりやすいですね(笑)

SVO2の変動は、1.肺での酸素交換 2.酸素運搬 3.組織での酸素消費の3つの因子が関わります。

 

SVO2が低下した場合は酸素供給量の低下か酸素消費量の増加が原因となります。

 

酸素供給量の低下→心拍出量の低下、貧血、肺の酸素化不良
酸素消費量の増加→体位変換など処置によるもの、発熱、(人工呼吸器装着中なら)自発呼吸の出現など

 

Svo2の上昇は酸素供給量の増加か酸素消費量の低下が原因となります。

 

酸素供給量の増加→貧血、心拍出量の改善、カテーテルの入りすぎ
酸素消費量の低下→代謝の低下、敗血症、低体温

 

ちなみにビジランスモニターのSvo2更新時間は2秒なので末梢冷感などでspo2が測れない時はSVO2で代用できます。

 

CO 心拍出量   CI 心係数

ビジランスモニターでは持続的の意味を持つcontinuousがつくので、CCO・CCIと表示されています。

 

CO(心拍出量)=SV(1回拍出量)×心拍数です。

 

成人の1回拍出量は約70mlなので、心拍数が大体70回/分で計算すると4900mlとなります。

なのでCOの正常値は、おおむね5L程度です。

CIは体重の違いによる酸素消費量の差を無くすために、体表面積を補正した数字となります。

 

CI(心係数)=心拍出量÷体表面積です。

 

後述するフォレスター分類での指標にもなる2.2以上が正常値です。

EDVI(右室拡張終末期容積)

基準値は80~150

右室の容量、つまり右室のボリュームの指標となります。

上昇すれば右心不全の兆候やオーバーボリュームと判断します。

RVEF(右室駆出率)

基準値は45~50%以上

EFと言えば通常はLVEF(左室駆出率)の事を指します。

RVEFはRV(右室)の駆出率を表わしています。

RVEFが低下してEDVIが上昇していれば心不全と判断します

正直CIやフォレスター分類で心臓の状態を判断するので、医師でもあまり気にする数値ではないようです。



フォレスター分類

 

 

心臓のポンプ機能を評価するための重症度分類です。

急性心筋梗塞後や心不全の病態把握や治療方針の決定に有用となります。

 

Ⅳ群の肺うっ血+末梢循環不全になれば補助循環が必要とされます。

補助循環とは大動脈バルーンパンピング(IABP)や経皮的心肺補助装置(PCPS)です。



スワンガンツカテーテル挿入中の観察項目

では看護師がベッドサイドで観察するべき項目を解説していきます。

波形

スワンガンツカテーテルは先端が肺動脈へ留置されている為、正常な波形は肺動脈圧(PAP)となります。

波形が右心室圧(RVP)の波形になっていれば、カテーテルが抜けてきている状態だと判断できます。

また波形が肺動楔脈入圧(PCWP)の波形になっていれば、カテーテルの挿入位置が深くなってきていると判断できます。

また波形が鈍い(なまっている)状態はカテーテルの閉塞や血管壁にあたっている可能性があるので、医師へ報告します。

数値

数値の測定は、胸腔内圧の影響が最も少なくなる呼気終末時に行ないます。

得られる数値や基準値はあくまで指標であり、大切な事は『スワンガンツカテーテルやビジランスモニターから得られる数値を経時的変化で捉える事』です。

その時の数値も大切ですが、数値がどのような変化をしているのかを他のバイタルサインと併用してアセスメントする事が重要です。

SQIレベル

SQIレベル(シグナルクオリティーインジゲーターレベル)とは、ビジランスモニターの数値の信頼度を表す数値であり、SQIレベルが高くなるほど数値の信頼度は低くなります

ビジランスモニターでは画面の右上に表示されており、SQIレベルが3以上の場合は問題を解決する必要があります。

SQIレベルが上昇する原因はカテーテルの閉塞・ねじれ。血管壁に当たっているなどが考えられます。また血液が希釈されていることによりSQIレベルが上昇する場合もあります。

SQIレベル

1 緑:最適な状態

2 緑:適度に調整された状態

3 黄:得られた数値の信頼性が薄い

4 赤:無効な状態。問題の解決が必要

挿入部位周辺の観察項目

・カテーテル挿入部の出血・固定外れ・感染徴候の有無

・カテーテルに接続されているルート・コードの緩み・外れが無いか

・バルーン拡張用シリンジがきちんとロックされているか

・カテーテルとシースの固定部が緩んでいないか



ビジランスモニターのキャリブレーションとは?

キャリブレーションとは校正調整という意味で、スワンガンツカテーテルをビジランスモニターに接続した際に必要となる操作です。

施設により医師がしたり看護師がしたり、はたまた臨床工学技士さんがしたりと様々で、AラインやCVPのゼロ点を合わせるみたいな感じだと思ってもらうといいです。

 

キャリブレーションでHb(ヘモグロビン)の数値を入力するのですが、必要な血液は混合静脈血です。

つまりスワンガンツカテーテルのPAラインから採決する必要があるのです。

くれぐれもカルテの動脈血の検査データから入力したりしないように注意が必要です。

 

あとキャリブレーションしたことがある人なら見たことあると思いますが、体外キャリブレーションと体内キャリブレーションという2つの項目があります。

スワンガンツカテーテルを体内に入れて行うか、体外で行うかの違いですね。

体外キャリブレーションはスワンガンツカテーテルを挿入前にする必要があるので、挿入しているカテーテルをキャリブレーションする場合は体内キャリブレーションとなります。

体内と体外両方しないといけないと思われそうですが、どちらかでキャリブレーションすればOKです。

まとめ

・スワンガンツカテーテルは心機能の評価を行う

・CIとPCWPはフォレスター分類に用いる数値なので重要

・フォレスター分類は心不全の治療をする上で重要な指標

・PAPなどの圧を見ることで循環血液量の不足などのアセスメントが行える

スワンガンツカテーテルは学校で習うこともなく、記載されている本も少ないので苦手な看護師さんも多いのではないのでしょうか?

しかしモニターの見方を覚えてしまえば、看護のアセスメントに役立つことも多いので、ICUやCCUで勤務するなら是非マスターしておきたいです。