看護

睡眠薬の種類と選択方法。看護師が知っておきたい眠剤の知識を解説

睡眠薬をオーダーするのは医師の仕事なのですが、実際に患者さんの睡眠状態を観察するのは看護師です。

患者さんの睡眠状態によって内服をスキップしたり医師に内服を検討してもらう上申をするのは看護師の役目なのでしっかりと眠剤について知識を持っておく必要があります。

また患者さんに「眠剤が欲しいです」と言われて、頓用の指示からどの「眠剤を選んだらいいのだろう?」と悩んだ看護師さんもいるのではないのでしょうか。

 

睡眠薬は主に

1.GABA受容体作動薬(非ベンゾジアゼピン系、ベンゾジアゼピン系)

2.メラトニン受容体作動薬

3.オレキシン受容体拮抗薬

に分類されます。

 

今回の記事ではそれぞれの睡眠薬の特徴について説明していきます。

GABA受容体作動薬

GABA受容体作動薬は、ベンゾジアゼピン系非ベンゾジアゼピン系の2種類が存在します。

「ベンゾ」と「非ベンゾ」なので名前だけみれば反対の作用を起こしそうなのですが、実は両者に大きな違いが無いです。

両者ともに脳の活動を低下させ、鎮静する効果をもちます。そして鎮静作用とともに、わずかな筋弛緩作用をもつのが特徴です

非ベンゾジアゼピン系の薬の方が筋弛緩作用が少ないという特徴がありますが、両者ともにせん妄を起こしやすい薬です。

 

またベンゾジアゼピン系の薬は依存性もあり急に服薬を中止するとベンゾジアゼピン離脱症候群とよばれる退薬症状が出現することもあります。

上記のような副作用も多いため、最近ではベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系ともに使用される機会が少なくなっています。

 

筋弛緩作用による転倒や次の日へと持ち越すこともあるため、ベンゾジアゼピン系を使用するときは超短時間作用型か短時間作用型を処方されるのが一般的です。

主なベンゾジアゼピン系の薬

レンドルミン、グッドミン、ブロチゾラム、デパスなど

 

主な非ベンゾジアゼピン系の薬

マイスリー、ゾルピデム、ゾピクロン、アモバンなど

 

ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系ともにせん妄を起こしやすい。

眠らせるのではなく脳の活動を低下させる。

急に服薬を中止するとベンゾジアゼピン離脱症候群とよばれる症状が出現することもある。



メラトニン受容体作動薬

現在メラトニン受容体作動薬はロゼレムのみになります。脳の松果体から分泌されるメラトニンは体内時計を司るホルモンです。

日光を浴びることで体内時計がリセットされメラトニンの分泌が止まります。そこから14時間ほどすると徐々にメラトニンが分類され自然と眠たくなるようになっています。

メラトニンは年齢とともに分類量が減るため、年配の方は環境の変化もあり、昼夜逆転を起こしやすいです。

 

ロゼレムは内服することによって体内時計のリズムを整え、自然な眠りを起こす薬になっています。

注意点としてはロゼレムは1~2週間と内服を続けることによって昼夜逆転を治す薬なので、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の薬と違い眠らせる(鎮静する)効果は少ないです。

 

つまり頓用で1回だけ飲んでも効果は少ないと言えます。

 

臨床ではこのロゼレムの効果をあまり理解されていなくて、頓用で指示をだすドクターがいればその指示に従って内服させる看護師がいます。

当たり前のことなのですが、患者さんに飲ませる薬なので、しっかりと理解して使用したいですね。

ロゼレムは体内時計を調節し、自然な眠りを誘発させる

催眠作用は少ない、内服を続けることで効果が出る



オレキシン受容体拮抗薬

オレキシンは視床下部で作られる、覚醒を維持する脳内物質です。このオレキシンの働きが弱くなると脳が覚醒から睡眠へと切り替わります。

オレキシン受容体拮抗薬であるベルソムラは、オレキシンの働きを阻害することによって、自然と眠たくなるように働きます。

 

GABA受容体作動薬で問題になる、筋弛緩作用やせん妄のリスクが無いため比較的使用しやすい睡眠薬となっています。

また臨床試験によって耐性や依存性が無いとも言われています(実際は精神的な依存は少なからず存在すると思います)。

 

結構メリットの多い薬ですが、効果に個人差があるのがデメリットです。例えばオレキシンに関わる睡眠薬なので、オレキシンでは無く他の要因で不眠となっている場合は効果が薄くなります。

ベルソムラは自然に眠たくなるように作用する

せん妄の発症リスクはほとんど無い

効果に個人差がある



まとめ:看護師はしっかり眠剤の知識を持っておこう

・ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系はともにせん妄リスクが高くなる。

・ロゼレムは体内時計を調節し、自然な眠りを誘発するが継続して内服する必要がある。

・ベルソムラはせん妄リスクも少なく使いやすいが効果に個人差がある。

眠剤はあくまで患者さんのために使用するものです、副作用もあるため看護師が忙しいといった理由などで使用していいものではありません。

 

現場では患者さんの睡眠に関わるのは看護師が主なので、しっかりと睡眠薬について知識を持っておきたいですね。適正に使用すれば患者さんのQOLの向上にもつながるので、きちんと理解して使用することを意識しましょう。