看護

術後の看護に役立つ、創部の閉創方法や創部保護材の種類を解説

『術後の看護が苦手!』という看護師は多いと思いますが、苦手な原因が『創部の閉創方法や保護材がわからない』という人も多いのではないのでしょうか?

術後の創部は色々な方法で閉創されているので、『この前の患者さんはステイプラ―だけど、今日の患者さんは糸で閉創している』といった疑問を持った方も多いと思います。

創部の閉創方法だけでなく、オプサイトやカラヤヘッシブなど、創部を保護する物品も様々です。

この記事では術後の閉創方法や創部の保護剤についてまとめてみました。

おもな閉創方法の紹介

手術を行なえば必然的に創部が残るので、術後の看護において創部の観察は必須です。

創部を閉じる事を『閉創』といい、閉創は様々な方法で行なわれます。外科系の看護師なら閉創の方法を知っておくと、術後の観察に役立つかもしれません。

真皮埋没縫合

表皮の下の真皮へ吸収糸を埋没させて縫合します。単純に真皮縫合と呼ぶこともあります。

抜糸が不要、傷跡がキレイになるなどのメリットがありますが、術者の技術が必要で、縫合に時間がかかります。

術後の創感染の割合もステイプラーに比べて低いという研究結果もあり、真皮縫合が行われるケースが多くなっています。

皮膚接合用テープ

皮膚接合用テープの名の通り、『皮膚を縫い合わせるのでなく、テープでくっつける』ことを目的とするものです。

ステリストリップテープ、ロイコストリップテープなどの商品名であり、手術や救急外来などで創部を縫わず、表皮をよせて皮膚接合を図る目的で使用されます。

大きくテンションのかかる部位でなければ、テープで皮膚をよせて治癒を図ります。メリットとしては抜糸の必要もなく、創部の痛みも少なく、処置の時間も早いです。

救急外来などでも縫合せずにステリテープで対応する場合も多いです。局所麻酔も必要なく縫い跡も残らないので特に小児では重宝されています。

ステイプラー

いわゆるホッチキスで、創部の閉鎖目的の専用のものを使用します。商品名ではスキンステイプラーなどで、ホッチキスの如く『バチバチ』と傷を閉鎖することが出来ます。

メリットとしてはとにかく時間がかからず閉創できますが、術後の創痛が強く、術後は抜糸ならぬ抜鉤(ばっこう)が必要となります。

近年は真皮縫合が増えた為、ステイプラーを使用されるケースは徐々に減少しています。

皮膚用接着剤

商品名はダーマボンドなどで、皮膚用の接着剤で糸の縫合の代わりに皮膚をよせることができます。その張度は4-0縫合糸の結節縫合と同様といわれているので、皮膚を接着する効果は十分にあります。

またボンドの膜ができるのでガーゼやドレッシング材が不要で、早期の入浴も行えるメリットがあります。

デメリットとしてはコストが高く、ステリテープや縫合糸に対して皮膚用接着剤は5倍以上の値段と言われています。

結節縫合と連続縫合

結節縫合は糸を一本ずつ縫合して閉創する方法です。部分的な抜糸が可能ですが、閉創に時間がかかります

連続縫合は1本の糸を創の終わりまで連続して縫合します。使用する糸も少なく、時間も早いのですが、一箇所が切れると創全体が開いてしまう可能性もあります。

基本的に創部は結節縫合で行なわれています。縫合の糸が切れて創部が開く事を『離開(りかい)』と呼びます。



おもな創部保護材の紹介

ガーゼ:出血や浸出液が多い場合に有効。すぐに交換できる。

ドレッシング剤:浸潤環境を保ち、創部の治癒に有効。最近はガーゼよりこちらが主流。

皮膚用接着剤:透明なボンドの膜ができるので、観察しやすい。

今までの術後の創部保護の基本はガーゼで保護し、毎日消毒してガーゼ交換を行ってきました。

しかし最近では創部に直接ガーゼを当てることはほとんど行われていないです。というのは傷からの排液を吸収するためにガーゼを当ててるのですが、ガーゼに吸い取られた排液が固まりそのガーゼを剥がすと出血したりするためです。

また創部が治癒するには適度な浸潤環境が必要であり、ガーゼでは創部が乾燥して創部の治癒を行う細胞が増殖する良い環境ではありません。

その為現在ではドレッシング材で被覆し、良い浸潤環境を保って創部の治癒を図る方法が主流となっています。またガーゼと違って透明なフィルム材も多く、わざわざ剥がさずとも観察ができるメリットがあります。

ドレッシング材はオプサイトなどのポリウレタンフィルムや、カラヤヘッシブなどのハイドロコロイドドレッシング材など様々な種類があります。いずれも浸潤環境を保ちますが、適度に吸水性もあるので皮膚が浸軟化(水分でふやけている状態)するのを予防します。皮膚が浸軟化するとびらんや感染が生じやすいので、浸出液が溜まれば交換が必要です。

絆創膏でもキズパワーパッドのように浸潤環境をつくるものが増えているのはこういった理由なのです。

また皮膚用接着剤を使用している場合は、ガーゼやドレッシング材は不要となり、創部の観察もしやすいです。



創部は毎日の消毒が必要か?

ポビドンヨード、いわゆるイソジンで毎日創部を消毒してガーゼ交換を行うことは今までの術後の常識でした。

しかし最近ではイソジンによる消毒は細菌だけでなく創部を治癒する細胞まで死滅させてしまうので逆に創部の治癒を妨害することになると報告されています。

アメリカの公衆衛生局が発表したガイドラインでは、消毒ではなく生理食塩水による洗浄が推奨されています。

手術創は48~72時間程度で皮膚が上皮化し創部が閉鎖されます。浸出液も出なくなるのでガーゼも必要なく消毒も不要となるのです。

上記の理由から消毒は創の治癒を妨げる原因となるので不要であり、手術の縫合部は吸収パット付きのオプサイトやドレッシング材で被覆し、24~72時間後にオプサイトを剥がして感染徴候がなければその後のドレッシング材と消毒は不要になります。

 

まとめ

・最近は真皮埋没縫合や皮膚接合テープを使用する事が多く、術後痛みの強いステイプラ―は使用されることが少なくなった。

・皮膚接着剤と呼ばれる皮膚用のボンドもある。早期に入浴が可能というメリットがある。

・創部は浸潤環境を保つことで治癒が早くなる。その為ガーゼよりもドレッシング材が使用されることが多くなった。

・毎日のイソジン消毒は創部の治癒を妨げる。

創部の消毒は今や昔、現在はドレッシング材や皮膚用接着剤などが主流となっており、ガーゼ保護することも少なくなりました。

縫合糸や創部の処置の方法はたくさん存在します、それぞれにメリットとデメリットが存在するのでしっかりと知っておきたいですね。