看護

スピーチカニューレの仕組みや看護、観察ポイントを解説します

ICU看護師のミダ猫です。この記事では気管切開用カニューレの一つである「スピーチカニューレ」についてまとめてみました。

ICUやHCUで勤務をしていても、意外とスピーチカニューレの仕組みを知らない看護師さんもいるのではないのでしょうか?是非この機会にスピーチカニューレについて学んでみてください。

またこのブログでは「ICUやHCUでの気管切開後の看護・トラブル対応をまとめました」という記事もあるので是非参考にしてみて下さい。

※この記事のスピーチカニューレは、株式会社高研の側孔付きスピーチカニューレで説明します。

 

スピーチカニューレとは?

気管切開用カニューレの一つで、スピーチバルブと呼ばれるものを装着することで発声が可能となるカニューレです。

株式会社高研では「スピーチカニューレ」や「コーケンネオブレス」といった、発声が可能となるカニューレが販売されています。

スピーチカニューレの構造

スピーチカニューレの特徴として、『スピーチバルブが装着できる』『カニューレに側孔がある』という2点があります。

この特徴のおかげでスピーチカニューレは発声が可能となるのです。

スピーチバルブと側孔

株式会社 高研のホームページより引用

スピーチバルブは一方弁となっています。吸気は気管切開部から行ない、呼気はスピーチバルブが閉じて、側孔から声帯を通って口から出るので発声ですることが可能になります。

普通の気管カニューレは側孔がありませんが、スピーチカニューレはこの側孔があるおかげで発声が可能になります。

単管式と複管式の違い

複管式のカニューレとは、内筒と外筒に分かれているタイプのものです。

外筒には側孔がついていますが、内筒には側孔がついていません。その為内筒を装着した状態では普通の気切カニューレと変わらない状態になります。

複管式の特徴はスピーチバルブを装着する際に内筒を外して装着します。そうすることで発声時は側管が使用でき、発声が必要では無い場面、特に就寝時などでは側孔を塞ぐ事ができるのです。

側孔は唾液などの垂れこみによる誤嚥のリスクも伴います。その為内筒で側孔を塞ぐ事で、側孔からの唾液などの垂れ込みを防止し、誤嚥を予防する事ができます

単管式のカニューレは内筒と外筒に分かれていないタイプです。

最近のスピーチカニューレは複管式が主流になっています。複管式カニューレは内筒を洗浄したり交換したりできるので、カニューレの閉塞防止にも有利です。しかし取り扱いによっては感染のリスクが高くなるので注意です。



スピーチカニューレの観察ポイント

ではスピーチカニューレ装着中患者さんの観察ポイントを紹介します。

呼吸状態、閉塞感の有無

スピーチカニューレ装着後に呼吸苦が無いか、努力呼吸が出現していないか、SPO2の低下が無いかを観察します。

特にスピーチカニューレに変更したばかりの患者さんは、スピーチカニューレでの呼吸に慣れず、閉塞感や呼吸苦を訴える場合が多いです。

呼吸苦を訴える場合は無理せず、一旦スピーチバルブを取り外すようにしましょう。

内筒の閉塞の有無

複菅式のカニューレでは、スピーチバルブ装着時は内筒を取り外します。

この時に内筒に痰がこびりついていないかを確認しておきましょう。必要時は内筒を洗浄したり交換するようにします。



スピーチカニューレにまつわるQ&A

Q:内筒は清潔操作が必要?

内筒は気管に留置されるので、内筒の取り扱いはできる限り清潔に行いましょう。

静岡県病院協会の感染対策のページで内筒は

  • 水道水で洗浄後、滅菌水で洗浄する
  • 蓋付きの清潔な容器で保存する(六単瓶など)
  • アルコールなどで消毒を行う

と記載されています。気管内に留置するものなので取り扱いには注意が必要です。

Q:スピーチバルブ装着中の酸素投与は口?気切部?

基本的に酸素療法に依存した患者さんにはスピーチバルブ装着は適していないとされています。

しかし患者さんによってはスピーチバルブを望まれる場合もあります。そういった場合、筆者の施設では気切部へ酸素を流すようにしています。

スピーチバルブ装着時の空気の流れを見てもらうと分かるのですが、空気の取り込みは気管切開部から行われるので、酸素を投与する時は気管切開部からが正解となります。

Q:スピーチバルブ装着時はカフを抜く?抜かない?

側孔付きのカニューレならカフは抜かなくても発声が可能です。しかし側孔はそれほど大きな穴ではないので、患者さんによっては発声が難しい場合があります。

側孔のみで発声が難しい場合は、カフを抜く事で発声に必要な呼気量が得られる場合があります。しかしカフを抜くと言う事は、カフ上の貯留物を誤嚥するというリスクも高くなります。

カフを抜く場合はしっかりとカフ上部を吸引してから行なうようにしましょう。誤嚥のリスクが高い場合はカフを抜かない、あるいはカフを抜く時間を短時間にするなどの工夫が必要です。



まとめ

・スピーチカニューレは「スピーチバルブが装着できる」「側孔がある」という特徴がある。

・スピーチカニューレには単管式と複管式があり、複管式は内筒と外筒に分かれる。

・スピーチバルブの装着直後は、呼吸苦や呼吸の閉塞感に注意する。呼吸苦があれば無理せずスピーチバルブを外すようにする。

・内筒の取り扱いは清潔に行なう。

・スピーチバルブ装着後、カフを抜く事で発声が良好となる場合があるが、誤嚥のリスクが上がるので注意が必要。

スピーチカニューレの仕組みや取り扱いはなかなか参考書などにも記載されていないので、筆者の経験がベースとなっていますが参考になりましたか?

このブログでは他にも気管挿管や気管切開の看護についてもまとめているので、是非参考にしてみて下さい。