看護

術後看護におけるサードスペースやリフィーディングの概念を理解しよう

術後看護では創部やドレーンの観察はもちろんですが、手術侵襲によって生じる『サードスペース』や『リフィーディング』の概念を理解しておく必要があります。

サードスペースやリフィ―ディングの概念は術後看護だけでなく、敗血症などの集中治療分野でも使用され、理解しておくことで術後看護や急変後の看護に役に立ちます。

今回は術後のサードスペースとリフィーディングについて記事にしてみました。術後看護で悩んでいる看護師は是非参考にしてみてください。

サードスペースとリフィーディング

生体は外傷や手術などの侵襲を受けると生体反応として血管の透過性が亢進し、血管の外へ水分が貯留していきます。その水分が貯留するスペースをサードスペースと呼びます。

血管内でもなく細胞内でもない第3のスペースなので、サードスペースとよばれています。サードスペースへ血管内の水分が移動すると結果的に循環血液量が減少し、その結果尿量も減少します。

サードスペースは『乏尿期』とも呼ばれ、循環血液量不足により尿量低下が起こりやすくなります。侵襲の大きさにより異なりますが、術後24~48時間程度持続し、徐々にサードスペースへ逃げていた水分が血管内へ戻ってきます。

サードスペースから血管内へ水分が戻ることを『リフィーディング現象』や『リフィーディングリフィーディング期』、あるいは『利尿期』とも呼ばれます。このリフィーディング期を経て、通常の状態へと戻っていきます。

術中・術直後はサードスペースを考慮した輸液が必要

手術侵襲によってサードスペースへ水分が移行してしまう為、術中~術直後においては『サードスペースへの移行を考慮した輸液』が必要になります。

術後にサードスペースへ水分が移行しているのに、適切な輸液負荷が行われないと脱水となり、血圧低下・頻脈・尿量減少といった症状が現れます。循環血液が不足している為、臓器血流が不足して急性腎不全などに移行する可能性もあります。

その為手術中からサードスペースを考慮した輸液が必要になっています。サードスペースへ移行する量は侵襲による違いや個人差がありますが、一般的に体重×5~20mlとされています。

補液としてはリンゲル液を使用されること多いです、またアルブミンの漏出による血管内脱水の場合はアルブミン製剤を投与して対応します。また出血による血液の各成分不足に対しては輸血で対応されます。

リフィーディング期の特徴

前述した通り、術後24~48時間程度で侵襲による血管透過性が正常化するとサードスペースの水分が血管内へ戻ってきます。

それにより循環血液量が増加し、血圧や中心静脈圧(CVP)の上昇がみられ、尿量も増加します。その為利尿期とも呼ばれます。

リフィーディング期に正常に尿が排出されれば問題はありませんが、腎機能に問題がある場合では貯まった水分が尿として排出できないので、水分過多になり心不全や肺水腫を引き起こす可能性があります。

また腎機能は正常でも、リフィーディング期に循環血液量が増加しているのに、術直後の感覚のまま輸液をどんどん入れていると、心不全や肺水腫などを引き起こす原因となります。



看護のポイント

術後はサードスペースへの移行とリフィーディング期による循環血液量の増加を考慮した管理が必要になります。

術後の看護を行う場合は、手術中のトータルのINとOUTのバランスを把握しておきたいですが、インアウトバランスだけでなくバイタルサインやフィジカルアセスメントなどの情報も重要となります。

最近では電子カルテで計算してくれているものが多いのですが、術中からの情報が分かりにくい施設も少なくはないと思います。

インアウトバランスが正確に計算できない場合でもバイタルサインなどの指標からアセスメントすることが重要です。

術後のサードスペース移行を考慮した観察項目

バイタルサインとしては、循環血液量減少による血圧低下、脱水に伴う脈拍数の増加を観察します。もしCVPが測定されているならCVPの低下が無いかを観察します。

尿量は0.5〜1.0ml/kg/h以上を目安として管理します。尿の性状は濃縮ではないかも合わせてこまめに観察しましょう。

脱水徴候としては、皮膚の緊張度(ツルゴール)の低下や口渇、口唇の乾燥などで出現します。特に口渇といった自覚症状として現れる場合が多いです。

また脱水だけでなく、輸液過多にも注意が必要です。四肢浮腫、呼吸苦、咳嗽など心不全のような症状が特徴です。もともと心不全や腎不全がある患者さんは特に注意が必要です。

循環動態の変化:血圧低下・頻脈・CVPの減少

尿の観察:尿量の低下・濃縮尿

脱水徴候の有無:口渇・口唇の乾燥・皮膚の緊張度(ツルゴール)の低下

輸液過多の徴候の有無:四肢浮腫、呼吸苦、咳嗽

 

まとめ

・生体は外傷や手術などの侵襲を受けると生体反応として血管の透過性が亢進し、血管の外へ水分が貯留する。その水分が貯留するスペースをサードスペースと呼ぶ。

・サードスペースへ血管内の水分が移動すると循環血液量が減少し、その結果尿量も減少する。

・サードスペースから血管内へ水分が戻ることをリフィーディング期や利尿期とも呼ぶ。

・術中~術直後においてはサードスペースへの移行を考慮した輸液が必要。適切な輸液負荷が行われないと脱水となる。

・術後はサードスペースへの移行とリフィーディング期による循環血液量の増加を考慮した管理が必要。インアウトバランスだけでなくバイタルサインやフィジカルアセスメントなどの情報も重要。

術後輸液の看護においてサードスペースリフィーディングの概念は必須なので必ず覚えておきましょう。

輸液のオーダーを行うのは医師ですが、患者さんの近くで観察するのは看護師なので、術後の輸液管理について知ることは異常の早期発見に繋がります。

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